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一般的な空調と精密空調の違い

精密空調機とエアコンは似て非なり!

空調機というと、自宅やオフィスの冷暖房で使用するエアコンを思い浮かべる方が多いと思いますが、精密空調機とエアコンでは吐出空気の温度制御性能に大きな差があります。エアコンの吐出空気温度は設定温度に対して ±2 ~ 3℃程度ですが、精密空調機の吐出温度は設定温度に対して ±0.1℃以内にコントロールしています。

精密空調機はエアコンと似て非なり!

精密空調機はなぜ必要?

世界のものづくりの現場では、精密空調機が非常に多く使われているのをご存じですか?
身近なもので例えると、スマートフォンです。スマートフォンに搭載されている部品は高性能のため、信頼性の高いものを作るために温度や湿度が精密にコントロールされた環境下で製造することが必須となります。

例)1,000m のアルミ材での熱膨張比較

アルミ材の温度変化に対する寸法変化を見てみると半導体の集積回路などでは 90nm(ナノメートル)という微細な回路を作る必要がありますが、温度変化が大きいと熱膨張や収縮の影響を受けて精密な加工ができなくなってしまいます。温度変化 ±3℃と ±0.1℃で比較すると、寸法変化を約 1/30に抑えることができます。温度変化による寸法変化の防止や安定した加工を行うためには精密空間が必要であることが分かります。

アルミ材の熱膨張比較

このように加工をする際に加工材料が温度や湿度によって大きさや重さが変化してしまうため、工場や大学等の研究室などでは細かな空調管理が必要とされています。
ものづくりの世界ではこうした小さな変化が非常に大切であり、小型化・高性能化していくほど、その微妙な変化はより重要になります。精密加工や微細加工、環境試験や分析・測定装置など、ものづくりの現場では様々な場面で精密空調機が使用されています。

精密空調が求められる場面

収蔵庫

収蔵庫
文化財や絵画・古文書・美術品・重要書類等の保管には「温湿度管理」が極めて重要です。収蔵品が温湿度の変化により伸縮や化学反応を起こし劣化に繋がるほか、湿度が高すぎるとカビなどの問題が発生します。

エンジンベンチ

エンジンベンチ
自動車及び二輪車のエンジンテスト用として、エンジンの吸入空気を一定温度で供給し、排気ガス測定を行う工程に多く使われています。測定環境を一定に保つためのシビアな温度管理が要求されます。

三次元測定機

三次元測定機
三次元測定機は高精度で、最小メモリが 0.0005 ~ 0.00001mm。その測定精度を上げる為には設置周囲環境の安定が求められます。

フェムト秒レーザー

フェムト秒レーザー
レーザーを利用した微細加工機に採用された実験用施設としてビニールブースとともにシステムとして活用。循環方式を採用しています。

紙・ダンボールの強度テスト

紙・ダンボールの強度テスト
紙、板紙やパルプなどの超湿および試験は標準状態が 23±1℃、(50±2%RH)と規定で定められています。紙・パルプ類は周囲の温湿度条件により吸湿し、強度や伸縮に影響を及ぼすため、一定の温湿度環境が必要です。

クリーンルーム・クリーンブース

クリーンルームクリーンブース
オリオンの精密空調機 PAPシリーズとの組合せにより、お客様の用途、ご要望に合わせた局所精密空調と局所クリーンをシステム提案いたします。

様々な小型計測器

電子顕微鏡
電子顕微鏡
電子天秤
電子天秤
真円度計測器(円筒形状測定器)
真円度計測器(円筒形状測定器)

温度変化による物体の伸縮は測定物に限らず測定機器にも影響を及ぼします。測定精度を上げるためには十分な温度ならしが必要なうえ、周囲環境の安定が求められます。

精密空調機 PAPシリーズ
Precision Air Processor

オリオン独自の技術「ヒートポンプバランス制御」が搭載された精密空調機 PAP(Precision Air Processor)シリーズは 2009 年の発売以来「大幅な省エネと高精度の両立」を特長に国内外で高く評価されています。現在では、小型「mini シリーズ」から設備用「R シリーズ」まで全 45 機種と豊富なラインナップで多くの皆さまにご愛顧いただいています。

> 精密空調機 PAPシリーズの省エネ
> 精密空調機・特殊空調機

精密空調機 PAPシリーズ
▲ 精密空調機 PAPシリーズ