加湿水の水質管理

給水の種類

加湿器への給水は、標準的にはイオン交換水または純水となります。

加湿器への給水に、水道法に規定されている水質基準に準ずる水を使用した場合、この水には溶解したミネラル成分(カルシウム、マグネシウムや塩素など)のイオンが微量含まれているため、加湿(=水の蒸発)に伴って残留物(=スケール)として析出・付着し、様々な障害の原因になります。スケールとは、一般的に給水中に含まれるシリカ(二酸化ケイ素・SiO2)や硬度成分(カルシウム、マグネシウム)などが溶解限度に達して析出・結晶化し固形化した蒸発残留物のことです。一旦析出したスケールは再び水に溶けることはなく加湿パンの底に堆積し様々な障害を起こしたり、ノズル噴霧式では空気中で析出して白い粉となって浮遊します。水冷式精密空調機の冷却水として水道水以外を使用する場合は、日本冷凍空調工業会が定める水質基準(JRA-GL 02:1994)を満たす水質の水を使用する必要があります。(詳細は仕様書に記載。)

水の種類と電気伝導率

水道水は、浄水場で処理され一般家庭や工場などへ送られますが、水道水にはカルシウムやマグネシウムなどの陽イオンと塩素や硝酸などの陰イオンがごく微量含まれています。 これらのイオンが不純物として洗浄や分析に悪影響を及ぼすことがあります。この不純物を極力取り除いたものが「純水」です。純水とは、ろ過・蒸留あるいは遠心沈殿・イオン交換・溶媒抽出などによって、浮遊物や不純物を取り除いた、文字通り「不純物を含まない水」という意味です。フラスコやビーカーなど実験器具の洗浄や試薬の調整にも用いられます。

超純水とは、超LSIなどの半導体製造工程でシリコンウェハの洗浄や、医薬品の製造などに用いられ、金属イオンや微生物などの不純物をほとんど含まず、純度100%の理論的に「水H2」に限りなく近い高純度の純水のことです。超純水は、不純物などが何も含まれないため、逆に超純水に触れ合う不純物(有機物、微粒子、金属イオンなど)が極めて溶けやすい水ということで、別名「ハングリーウォーター」とも呼ばれます。金属配管などに長時間使用されますと配管f材の成分分解・腐食を発生させる要因になります。

電気伝導率の単位は国際単位系(SI)ではS/m(ジーメンス毎メートル)ですが、水の純度を指す場合は、現在でもS/cm が広く用いられています。

1S/m=0.01S/cm=10mS/cm、 1µS/cm=100µS/m=0.1mS/m

水の種類別に電気伝導率で表すと下記のようになります。

電気伝導率 水の種類
100~400µS/cm 日本の一般的な水道水
10µS/cm 蒸留水
1µS/cm 以下 純水
0.1µS/cm 高純水
0.06µS/cm 以下 超純水

※加湿水の電気伝導率は1~10µS/cmの範囲で供給願います。