空調用語集

ア行

アスペクト比

縦横比のこと。主としてダクトの吹出し口、吸込み口のグリルわく又は長方形ダクトの枠の長辺と短辺の比をいう。

アネモ型吹出し口 (Anemostat diffuser)

内部に数枚のコーン状の羽根をもつ天井取り付け型吹出し口。吹出し気流は室内空気を誘引混合して吹出す。

暗騒音 (background noise)

ある場所において特定の音を対象として考える場合に、対象の音がないときのその場所における騒音を、対象の音に対して暗騒音という。 ホールやスタジオなどの施設において、空調設備の騒音を検討する場合は、人がいない状態で、空調設備を停止したときの騒音をいう。暗騒音は、外部から侵入する騒音や空調設備以外の内部発生騒音などである。dB(A)で表示される。

一酸化炭素 (carbon monoxide)

無色無臭の気体である。燃料が燃焼中に酸素が不足すると発生し、少量でも人体には有害なガスである。 室内環境基準では10ppm(0.001%)以下、大気汚染に係る環境基準では1時間値の1日平均値が10ppm以下であり、かつ、1時間値の8時間平均値が20ppm以下であることとされている。

インスタントカップリング

セパレート形ルームエアコン又は小形のパッケージエアコンなどの室外側ユニットと、室内側ユニットの冷媒回路の配管を迅速に接続できるカップリング。480kg/cm2の規定トルクレンチで締めつけ使用する。

ウォータハンマ (water hammer)

「水撃」ともいう。ポンプが止まったり、あるいは、弁を急に開閉させた場合の様な、管内を流れる流体が急にせき止められた時に生じる、大きな衝撃音や振動を発せさせる衝撃力をいう。 流れを急激に止めると、水の持っている速度エネルギーは瞬時に圧力エネルギーに変換され、弁直前で水圧が急激に上昇する。 この高い圧力は、配管内の水の圧力(静水圧)と等しくなろうとして圧力波となり、管路内を一定の周期で往復し、静水圧に戻るまでこれを繰り返す。 この圧力波が、弁と管路の始端で反射するときの衝撃によって、騒音や振動が発生するものである。 水撃防止のためには、急激に弁が閉じないよう、ばねの力で最終閉弁速度を減少させるなどが一般に行われる。

ULPAフィルタ (ultra low penetration air filter)

定格流量で粒径が0.15µmの粒子に対して99.9995%以上の粒子捕獲率をもつエアフィルタ。 半導体工場の様な高い清浄度が要求されるクリーンルームや生産装置等に使用される超高性能フィルタで、HEPAでは除去できない0.1µm程度の微少粒子も除去できる。 効率を良くするためHEPAフィルタと比べ、濾材密度を高くし、空気抵抗を下げるため濾材を薄くした製品がULPAフィルタである。 よって、ULPAフィルタはHEPAフィルタより強度が弱い欠点がある。

エアーカーテン装置 (air curtain)

建物の出入口や搬入口などの開口部に設置し、厚い空気流の層を形成して、外気、異物および塵埃の侵入を遮断する設備。人の出入りの多い建物などでは、内部の冷暖房エアーが流出するのを防ぐ目的で利用され、食品工場や製薬工場などでは梱包材料の保管庫や原材料倉庫の入り口に設置され、荷物を搬入する際に、蚊、蝿、昆虫など異物が倉庫内に侵入するのを防ぐ。

エアハンドリングユニット (air handling unit)

冷温水コイル・加湿器・ドレンパン・送風機・エアフィルタを一体に組み込んだ比較的大容量の空気調和機。 吹き出し空気を要求される条件に合わせて各機器を組み合わせることができるため、厳密な温湿度を要求される空調にも用いられる。

a接点 (a-contact)

継電器(リレー)等の接点構造を表す用語で、継電器が作動していない状態(非励磁状態)の時、接点が開いている(開路)ものをいう。 継電器が動作したとき接点が閉じる(閉路)。 ノーマリーオープン:NO

エリミネーター (eliminator)

空気調和機や冷却塔において空気の流れに随伴する水滴の飛散を防ぎ、液滴を除去する装置。 普通鉄板や樹脂成形板などでジグザグに折って並べた構造で水滴の慣性力を使用して分離する。

エンタルピー (enthalpy)

物体が内部に貯えている総エネルギー(熱量の合計)をいう。 内部エネルギーと圧力と体積の積からなるエネルギーの和で表される。 通常は1kgあたりの量を言い、単位はkcal/kgを使う。

FRP (fiber reinforced plastic)

繊維強化プラスチックのこと。 プラスチックに繊維を混ぜて補強した代表的な複合材料。 繊維として一般的にガラス繊維が使用されている。 ポリバスや受水層、高置水槽などに使用される。

オフセット (offset)

制御信号(実際の入力値)により制御動作が行われ、定常状態になっても設定値に一致せず一定の偏差が残ること、 またはその偏差量。定常偏差ともいう。

オンオフ制御 (on-off control)

制御する範囲の上限と下限を定め、ニ位置(発停動作など)で制御する方法。二位置制御ともいう。

温室効果

地表面から外部(宇宙)に向けて熱を放散する赤外線を大気中のガス、大気汚染物が吸収して、地球外への放散を妨げ気温が上昇する現象。

カ行

快感温度 (comfortable temperature)

季節に応じてある数値巾の中で多数の人間が快感を覚える温湿度条件をいう。 冬季の平均快感温度は18.9℃といわれる。 この有効温度の下で相対湿度が30~70%の範囲にあるときに、多数の人間が快感を覚える。

過熱度 (degree of superheat)

ある圧力のもとで、そのガスの飽和温度より高いガスになっている場合、その度合(差)のこと。 冷凍サイクルでは蒸発温度(飽和温度)と蒸発器出口の温度との差。記号はdegで表わす。スーパヒート5degということは、蒸発器入口から出口手前迄は例えば7℃で一定、 それから出口においては5℃過熱された蒸気となって12℃の過熱蒸気になったということ。

可変風量制御装置

ダクトの途中や端末に設置し、変風量方式で給気量の制御をする装置。

がらり (louver)

ルーバーともいう。 開口部の全面に細長い板状でできた 羽根状邪魔板を水平か垂直または格子状に取り付けたもの。 固定式と可変式とある。

過冷却

冷媒を与えられた圧力のもとで凝縮温度以下に冷却すること。 水が氷点(0℃)以下に冷却されることも過冷却である。 -18℃に冷えているフリーザの氷は過冷却された氷である。 過冷却のことをサブクールともいう。

換気設備 (ventilation equipment)

対象空間の空気を清浄に保つために設けられる設備で、空間内空気を排気するために設けられた排気ファン、排気ダクト、フードおよび排気口、給気のために設けられた給気ファン、給気ダクト、給気口、エアフィルタ等で構成されている。 新鮮空気(酸素)の確保、粉塵、有毒ガス、臭気の除去などの目的である。

揮発性有機化合物 (VOC:Volatile Organic Compounds)

常温・常圧で空気中に揮発しやすい有機化合物で、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類や、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどの有機塩素系化合物がある。 揮発すると大気汚染物質となり、水に溶けると土壌や地下水汚染の原因物質となる。

キャビテーション (cavitation)

空洞現象ともいう。 流動している液体が、流速の増加や渦の形成によって、圧力が局部的に低下して飽和蒸気圧近くになると、 蒸気や多くの泡が発生する現象をいう。 発生した泡が圧力の高い場所に移動すると、泡は瞬時に崩壊し衝撃圧を発生する。 これにより激しい振動、騒音とともに近くの固体壁面を浸食する。

吸音材 (sound absorbing material)

音を吸収するために使用する材料をいう。 吸音率が比較的大きいグラスウール、フェルト、軟質繊維等の柔らかい多孔質材料や穴明き板等の共鳴吸収材料がある。 音のエネルギーをほかのエネルギーに変換させて音の反射を少なくするもので、性能は吸音率の周波数特性で表わされる。

給気口 (air supplying opening(outlet))

空気の取り入れのため壁面等に設けられた開口部のこと。 自然換気の場合、建築基準法では天井高さの2分の1以下の高さに取り付けることになっている。

共通仕様書 (general specification)

仕様書の内、あらかじめどの工事現場にも共通する定型的な指示事項を盛り込み作成した仕様書。 一般仕様書または標準仕様ともいう。

結露 (vapour condensation)

空気中に含むことのできる水蒸気の量は、温度が高いほど多く、低いほど少ないので、水蒸気を含んだ空気が冷たい天井、床、壁の表面や内部、ガラス面、配管、ダクトなどに触れて温度が低下し、その位置の湿り空気の露点以下になったとき、水蒸気の一部が凝結し、液体(水滴)となる現象をいう。 水滴が表面に発生する場合を表面結露、内部に発生する場合を内部結露という。

ケミカル・フィルタ

化学汚染物質を除去する目的に使用するフィルタである。

顕熱 (sensible heat)

物体の温度を変えるために使われる熱で相変化を伴わない。

顕熱比

顕熱比=顕熱/全熱 全熱=潜熱+顕熱。 顕熱と潜熱の割合を顕熱比といい、主に空調機の送風量を決定するのに必要なデータである。

コージェネレーション

燃料を燃やしたエネルギーで発電した電気と、その際の排熱から回収した熱を利用することで、 エネルギー効率を高めるシステムである。

硬質塩化ビニル管 (unplasticized polyvinyl chloride pipe)

塩化ビニル樹脂を主原料として製造された管で、一般的に塩化ビニル管、塩ビ管といわれている。 給水用と排水などの一般管がある。 一般に雨水管には薄肉のものも使用される。

高速ダクト (high velocity duct)

ダクト内風速15m/s以上の空気調和用のダクトをいう。 高速ダクトはダクト内面積を大幅に小さくすることが可能で、強度からスパイラルダクトが用いられる。 しかし騒音が発生しやすい欠点があるので、吹き出し口には消音ボックスが必要である。

氷蓄熱槽

氷の状態で冷熱を蓄熱する装置である。

効果温度 (operative temperature)

「作用温度」ともいいまた「OT」と略称されるが、乾球温度、気流速度、平均放射温度及び有効体表面積などできまる生理温度指標である。 周壁温度と室内乾球温度との差が比較的大きい放射暖房などの温熱指標として用いられる。 室内気流が0.15~0.18m/s程度のとき、硬化温度は乾球温度と平均放射温度との平均値とみなされる。

効率

出力エネルギーと入力エネルギーの比で、どれだけ入力エネルギーが有効に働くかを示す。 冷凍装置の効率という場合にはその装置に供給する仕事と、装置がなしうる仕事との比を100分率で表す。

呼吸熱

青果物は収穫後も呼吸をしており、呼吸により発生する熱は顕熱として体外に放出される。 この熱を吸収熱といる。

コミッショニング (commissioning)

各設備システムに対して、機能的に計画、施工、試運転が行われ、 設計意図にそって確実に作動する運転、保守が可能な状態であることを確かめる過程(ASHRAEガイドライン)。 建築設備システムが建物発注者の要求通りの性能を発揮しているかどうかを、設計会社・施工会社および中立的な第三者が協力して立証する取組み。 第三者による性能検証のことであり、当事者が見落としていたミスや手抜きを第三者が客観的にチェックして設備システムの最適化を実現すること。 コミッショニングの3段階・設計性能検証:設計内容の検証・建設性能検証:施工過程検証と竣工後1年以内の再検証・運転性能検証:設備システムの適合性、環境・エルギー性能実績などの評価

コールドドラフト (cold draft)

ドラフトとは一般的には空気の流れることをいい、人体に不快感を与える気流の意味をもつ。 不快な冷感を与える気流を言いう。

コンバータ (converter)

交流電力を直流電力に変換する装置。 インバータは交流電源を直流に整流後、さらに任意の周波数の交流に変換する装置であるが、交流電源を直流へ変換するための整流回路部(整流器)をコンバータと呼ぶ。

サ行

サージング現象 (surging)

ファンのP-Q特性が右上がりになる流量範囲では、圧力、流量が不安定になり、大きく変動する。この範囲で運転すると振動や風の息つきがおきるので、ダクトの変形、圧力脈動などで正常な運転ができなくなる。

サーボ機構 (Servo-Mechanism、Servo-Controler)

物の速度、角度、位置、姿勢などを規定値に保つように構成された自動制御系。

サーミスタ (thermister)

温度依存性の高い半導体で、温度上昇で電気抵抗が著しく減少する特性があるので感温素子として用いる。熱容量が小さく感度が高い。

産業空気調和 (industrial air conditioning)

各種産業の主として生産工程中における空気調和をいうので、人間以外の動物や物が主たる対象となる。従って、温湿度条件はその動物やものの目的や特性によってきまり、季節にはあまり関係しない。また温湿度や清浄度の許容範囲が定められ、その精度が厳しく要求される。「プロセスの空気調和」といわれることもある。

シーケンス制御 (sequence control)

与えられた手順に従って、機器の発停や種々の制御を行うこと。あらかじめ定められた順序に従って、制御の各段階を逐次進めていく制御。

スーパークリーンルーム (super clean room)

空気清浄度などが非常に高度な条件であるクリーンルーム。0.1µmの微粒子が1ft3当たり1個以内という、超清浄度が要求されるクリーンルーム。

スーパードライルーム (super dry room)

超低湿度の環境が要求された空間である。一般に露点温度が-10゜C以下に制御されている室のことをいう。

水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管

配管用炭素鋼鋼管(JIS G 3452)の黒管または水道用亜鉛メッキ鋼管(JIS G 3442)に硬質塩化ビニル樹脂(JIS K 6742の品質に準拠)をライニングしたもので、水道用パイプである。

スター結線 (star connection)

三相誘導電動機の二次側の接続方法の1つ。三相回路の各相の始点を1箇所に結合した接続方法の形が星型であるため、スター結線という。この接続方法は始動電流を減らすことができる。一般の接続方法にスター結線とデルタ結線がある。

ステップ応答 (step response)

入力信号がある一定の値から他の一定の値に、階段的に突然変化した時の応答をいう。

スライム (slime)

水冷凝縮機の凝縮管などに付着する泥状の粘着性水垢のこと。

積分動作 (integral action)

操作量を制御偏差の大きさと偏差の生じている時間の積の総和(面積)、すなわち積分値の大きさに比例して操作量を出す制御動作をいう。偏差がある限り操作量が増大するので、比例動作にて生じるオフセットを解消する効果があり、比例動作と併用される。

静圧 (static pressure)

流動する気体または液体の全圧から動圧を差し引いた圧力で、流れの方向に対して垂直方向に作用する単位面積当たりの力をいい、kg/m2またはmmAg(mmH2O)で表す。

設計図書

特記仕様書、図面、共通仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書をいう。

絶対圧力 (absolute pressure)

完全真空のときの圧力を0として測つた圧力で、単位はkg/cm2 absまたはkg/cm2絶対と書く。絶対圧力では大気圧は1.03 kg/cm2となる。絶対圧力=ゲージ圧力+大気圧(1.03kg/cm2)

絶対温度 (absolute temperature)

熱力学的に考えられる物質構成粒子の運動が止まるところを絶対ゼロ して、摂氏温度の目盛と等しい目盛をつけた温度。氷点は絶対温度で273°K(ケルビン)となる。

絶対湿度 (absolute humidity)

湿り空気に含まれている水分の量と乾き空気の量との重量割合。単位はkg/kg。

全熱交換器 (total heat exchanger)

夏期や冬期に、取り入れ空気と室内からの排気に顕熱、潜熱ともにかなり差があるため、この両方の空気の間で熱交換させれば外気負荷を減らし設備容量、運転費を下げることができる。このため吸湿材を用いて温湿度の高い空気と低い空気の間で全熱(顕熱と潜熱)を交換させる装置。熱交換率は一般に60~70%程度である。

潜熱 (latent heat)

固体から液体へ、液体から気体へ(あるいはその逆)物体が変化するとき、温度上昇を伴わない状態で変化する際に費やされる熱をいう。融解熱・蒸発熱・昇華熱などを総量して状態変化の潜熱という。

層流型クリーンルーム

空間のほとんどの区域で渦流を最小限とし層流空気流(均一な風速と一様な流線)を与えるクリーンルーム。

相対湿度 (relative humidity)

湿り空気の比重量と飽和空気の比重量との比。または湿り空気中の水蒸気の分圧と同じ温度における飽和湿り空気中の水分の分圧との比を%で表したもの。一般に湿度とは相対湿度をいう場合が多い。

送風機の法則 (fan law)

ファンの特性を変えるためファンの回転数を変化させるが、その量が ±20%以内ならば、ファンの特性はほぼ次に示す比例法則に従って 変化する。このことを送風機の法則と呼んでいる。 ①風量はファンの回転数に比例する。 ②風圧(全圧、静圧、動力)は、ファンの回転数の2乗に比例する。 ③軸動力はファンの回転数の3乗に比例する。 ④ファンの速度、風量が一定のとき、風圧と動力は空気の密度に比例する。

測温抵抗体

温度の変化を電気抵抗の変化として測定する温度センサ。測温抵抗体の材料は白金、ニッケル、銅などがあり、方式に3導線、4導線がある。

タ行

体感温度 (human environmental tempraturecontrol)

人体に感ずる温度。気温とは異なる。温度・湿度・風速などによって影響を受ける。

超音波加湿器 (ultrasonic humidifier)

超音波で振動する棒を水中に浸すと、液中にキャビテーションが発生し、棒の表面近くに噴流状の霧が生ずる。この微細水滴を空気中に供給して加湿する装置。水滴が小さく室内設置が可能だが、加湿能力は小さい。

蓄熱槽

熱媒体としての温水、冷水または氷を蓄えるための槽。

中温空調

温度域10~25℃での環境空調。細菌・カビの繁殖を抑え、作業員が作業しやすい(寒すぎない)温度域で、食品工場、惣菜屋、バックヤード等で使用。

動圧 (dynamic pressure)

ダクト内の空気または管内の液体は、静圧のほかに風圧または流速によって生じる圧力をもち、これを動圧または速度圧という。単位は静圧に同じ。

ドライ運転

簡単にいえば除湿運転のことである。①家庭用ルームエアコンで 室内温度を下げないで除湿だけしたい場合に、蒸発器の外側に再熱器を 取り付けた装置を使う。一旦室内の空気を冷房して、温度と湿度を落とし次に再熱器で温度をあげてやると湿度が落ちたことになる。②多くの場合は、 ファンの制御よってドライ運転と同じ効果をあげる"ドライ運転"をとっている。 ファンを制御して最低の速度でゆっくり風を送れば、室内温度は徐々に下がり、 同時に湿度もとれる理屈である。

ドラフト (draft)

一般には圧力差に起因する空気の流れ。温風管、煙突、暖房機、室内空間などの中で起こる空気や気体の流れをいう。暖房機の場合でいえば、燃焼高温排ガスの軽比重と 給気側常温空気の比重の差により生ずる浮力ともいえる。人体にとって不快な感じの気流で、 すきま風や冬期窓面からの自然対流冷風などをいうこともある。

ナ行

熱貫流率 (coefficient of overall heat transmission)

固体壁の一面に高温の流体(気体または液体)、地面に低温の流体が接していると、固体壁を通して高温流体から低温流体へ熱の移動が行われる。この現象を熱貫流といいその程度を表す係数をいう。「熱通過率」ということもある。この率は流体と壁面との間の熱伝導率及び壁体内の熱伝導率との間に一定の関係がある。(kcal/m2h℃)

熱電対 (thermo couple)

2種類の金属線を接合し、温度に対応した直流電圧(mv)を発生させる一対の導線(センサー)。基準点と計測点との温度差による熱起電力を発生させる目的で2種類の金属の一端を電気的に接続したもので、起電力を計測することにより、温度を検出する。金属線の組合わせとして白金+白金ロジウム、クロメル+アラメル、クロメル+コンスタンタン、鉄+コンスタンタン、銅+コンスタンタンなどが使われる。

熱伝導率 (heat conductivity、thermal conductivity)

熱伝導の良否を表わすのに用いる率。単位kcal/mh℃。熱量は伝熱面積、温度差、時間にある比例定数をもって比例し、同じく熱の移動するよりに反比例する。この比例定数をいう。

ノーマルオープン (normally open)

非通電時に弁が全開状態で通電により弁が閉じるタイプの操作部の機能をいう。→a接点

ノーマルクローズ (normally close)

非通電時に弁が閉じていて、通電により弁が開くタイプの操作部の機能をいう。→b接点

ハ行

バイオクリーンルーム (bioclean room)

微生物を対象としたクリーンルームである。工業用のクリーンルームと構造は同じだが、主な目的が塵埃より菌を制御することにあるため、部屋が滅菌できるよう工夫されている。バイオロジカルクリーンルーム。

HACCP (Hazard Analysis and Critical Control Point)

「危害分析重要管理点」システム。食品製造プロセスにおいて危害が発生する可能性のある個所を確認し、危害発生を事前に防止するために厳重な対策を講じるプロセス管理システムである。プロセスの個々のステップを厳格にモニター(監視)し、管理することに、危害発生の可能性は減少する。HACCPシステムにおける最優先課題は、農場から食卓に至るまでの生産プロセス全体において化学的危害、物理的危害、微生物学的危害を防止することである。HACCPは1960年代にピルスベリ社が宇宙開発計画において宇宙飛行士用に最高に安全で最高の品質をもつ食品を製造するために採用したのが最初である。

バタフライ弁

円筒形の弁箱内で、円板状の弁体が、直径部分に設けた駆動軸により回転して開閉する弁。

バリデーション

工程や方法を科学的根拠、妥当ォをもって設計し、それが所期の目的どおり機能していることを検証すること。

ハンチング (hunting)

制御信号により、制御動作が行われたとき、制御量が周期的に変化して、安定状態にならない現象。

ヒートパイプ (heat pipe)

密閉したパイプ中に、特殊な循環装置とともに揮発性の液体を封入し、熱の伝導性を非常に良くしたもので熱交換器に使われている。揮発性の液は一端を温められると蒸発し、 他端まで速やかに均一温度となる。末端で冷却されると凝縮し液になり他端へ戻り循環する。 一般には液が戻りやすいようパイプ内側にウイックをつける。

PID動作 (proportional plus integral plus derivative action)

比例積分微分動作ともいう。一般にPID動作と言われる制御動作は、比例(Proportional)動作に積分(Integral)動作および微分(Derivative)動作を付加した制御動作をいう。比例帯、積分時間および微分時間を適切に設定することにより、オフセットがなく安定した比例制御が行える。

微分動作 (derivative action)

偏差の生じる割合(速さ)に比例して操作量を与える制御動作。偏差が大きくなるのを未然に抑えるもので、P、PI動作と組み合わせて使用される。D動作ともいわれる。

比例動作 (proportional action)

調節計の操作量が入力値と設定値の偏差の大きさに比例する制御動作をいう。比例(Proportional)の頭文字からP動作と表す場合がある。この比例定数が小さい場合は定常偏差が大きくなり、大きい場合はサイクリングが発生する。比例帯をオフセット(定常偏差)に相当する分だけ手動で移動させる機能を手動リセットという。

ファンコイル

温度調節された空気を放出する小型の冷暖房機で、ファン(送風機)・熱交換器・フィルタから構成されている。換気や湿度調節はできない。

ファンフィルタユニット (FFU)

フィルタと送風機が内蔵一体化されており、電源を接続するだけで清浄空気を供給することができる装置。

フィードバック制御

制御系で出力された制御信号により制御された結果を設定値(目標)と比較して、これを一致させるように訂正動作を行う制御方法。

フィードフォーワード制御 (feed forward control)

制御系に対する外乱を検出したとき、それが制御系に影響を与えないよう外乱に対して必要な訂正動作を行う制御方法。

不快指数 (discomfort index)

人間が不快と感じる空気の状態を数値であらわしたもの。 不快指数=(乾球温度+湿球温度)×0.72+40.6 一般に70以下で快適、75以下までまあまあ、80を超えると不快。

ブライン

二次冷媒ともいい、間接式冷却システムに用いられる液体で、冷凍機の蒸発器と冷却すべき場所とを循環し、熱を蒸発器に運ぶ。

プレナム室 (plenum chamber)

温度、湿度、清浄度が調整された空気を室内の隅々まで行き渡るように吹き出すために一度箱型の空間に収容し吹き出すためのグリルが付いた箱。エアコンの頭に乗っていて、比較的小さな室用に使う。取り外し可能。

ブロア (blower)

遠心式送風機の一種で、空気その他の気体を圧縮するための装置。加圧能力は1~20mAq程度まで加圧でき、工場などで空気、ガス等の圧送に用いられている。

米冷凍トン

冷却能力を示す単位の1つで、日本では正式には日本冷凍トンを使用しているが、 メートル法以前の古い単位としてこれを使用する場合があるので注意を要する。1米冷凍トンは3.024Kcal/hで日本冷凍トンより約10%小さい。

HEPAフィルタ (High Efficiency Particulate Air filter)

定格流量で粒径が0.3µmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集効率をもつエアフィルタ。空気清浄が要求されるあらゆる分野で使用される超高性能フィルタ。

ベルマウス (bell mouth)

ガス、液の流体を急速に絞って速度をあげる箇所をベルマウスという。軸流送風機の吸込口などがベルマウスに該当する。

変風量方式

空調対象に対し、室内熱負荷の変動に応じて、給気量を変動させる全空気式空調方式。

ホットガスバイパス (hot gas bypass)

冷凍用圧縮機の能力を負荷に応じて変化させるため、容量調整として圧縮ガス(ホットガス)の一部を吸い込み側に導くことをいう。アンローダー装置のない小型圧縮機の容量制御の方法。

ポンプダウン (pump down)

空調用語としては、冷媒系統内の冷媒を凝縮器・受液器に回収することで、機会の移設や修理の際に行う。「冷媒回収」ともいう。

マ行

水蓄熱

水を蓄熱材として使用した蓄熱で、空調用として最も普及した蓄熱システム。水は熱容量も大きく、安全性も高く、その取扱いも簡単で安価であると同時に作動媒体としての機能もあり、空調用蓄熱槽として既に多くの実績がある。水を用いる場合の最大の難点は高温になると急激にその蒸気圧が上昇する点にある。

MEPAフィルタ (Medium Efficiency Particulate Air filter)

主に空調系の外気処理に使用され、メインフィルタとして使用するだけでなく、ULPAフィルタやHEPAフィルタの保護として使用する場合もある中性能フィルタ。

ヤ行

養生

一般には、工事現場で施工箇所周辺または材料や物品などの表面を覆って汚損などから保護すること。 シートや紙で覆ったり養生テープを巻いたり、合板で囲うなどする。 また、工事現場で人や物を危険な作業や損傷から防護する対策や、そのための施設のこともいう。

ラ行

乱流式クリーンルーム

基本的なクリーンルーム方式で各分野で広く採用される。室内で発生する塵埃を清浄空気で希釈して清浄度を高める方式である。送風量が多いほど清浄度が高くなるが、気流が乱流であるため清浄度に限界があり、クラス1,000程度が保証限度である。 多のクリーン方式と併用されることが多い。・清浄度:クラス1,000~100,000・換気回数:15~80回/時 ・吹出風速:1~2m/s ・正圧度:0.5~20mmAq ・建設費:小・運転経費:小 ・フレキシビリティ:難・メンテナンス:中・騒音:小→垂直層流方式クリーンルーム→水平層流式クリーンルーム

リターンエア (return air)

空気調和・換気における還気。還気は再使用空気と排気に分けられる。

リターンダクト (return duct)

換気ダクト。空調機や換気ファンによって部屋から空気を戻すダクト。全空気方式の空調システムではダクト、空調機、及び熱源の3つの部分からなっている。そのダクト部はさらに4つの種類に分かれ、サプライダクト・リターンダクト・外気ダクト・排気ダクトから成っている。

冷凍トン (refrigeration(ton of))

本来は0℃の水1トンを一昼夜で0℃の氷にす能力を1冷凍トンというが、単位時間当たりの熱流量を意味していることもあり、冷凍能力の単位として用いたり、定格等の呼び単位として用いることもある。1トンを1000kgとする日本冷凍トンJRTと、1トンを2000lbとする米国冷凍トンUSRTがある。 1JRT=3320kcal/h=3861.16W 1USRT=3024kcal/h=3516.85W

露点 (dew point)

空気が冷却され含まれている水蒸気が液体(霧)になるときの温度のことをいう。ある温度において空気が含むことのできる水蒸気の限界を飽和水蒸気量といい、その限界(飽和状態)を超えた分の水蒸気が霧となって現れる。このときの温度が露点(露点温度)。

露点制御 (dew point control)

恒温恒湿装置においてより正確な相対湿度を制御するために、一旦所定の室内温湿度に対応する露天温度になるように制御し、室内の顕熱負荷の不足分は再熱量で調節する制御方法。