クリーン度と空調
代表的な気流方式
ダウンフロー方式 | コンベショナル方式 | |
---|---|---|
清浄度 | クラス10~1,000 | クラス1,000~ |
特長 | 垂直層流(ダウンフロー)方式は天井全面にFFUを設置し、垂直方向に全ての床面で吸込み循環する。温度・湿度・クリーン度が均一に分布しやすい。 | 乱流(コンベショナル)方式は、天井の数ヶ所にFFUを設置し、壁面下側にある吸込み口から循環する。管理が簡易である。空間の四隅に不均帯が発生する。 |
イニシャル | 高い | 経済的 |
ランニング | 高い | 経済的 |
代表的な換気方式
オールフレッシュ式 | 循環式 | |
---|---|---|
イニシャル | 高い | 経済的 |
ランニング | 高い | 経済的 |
空調精度 | 高い | やや不均衡有 |
メンテナンス費 | フィルタの交換回数は多くなる | 内部に発じんがなければ交換回数は少ない |
有機溶剤発生等 | 問題ない | 使用不可 |
ドア開閉 | 多い場合、復元性よい | 多い場合、復元性よくない |
換気回数と精度
換気回数の目安(温度精度維持)
温度精度 | ±2℃ | ±1℃ | ±0.5℃ | ±0.25℃ |
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換気回数 | 15回/h | 30回/h | 60回/h | 120回/h |
※温度精度はあくまでも目安であり、保証するものではありません。
クリーン度と換気回数
必要換気回数は、対象空間内の必要クリーン度によって変わってきます。クリーン度の要求が高ければ、より多くの精密クリーンエアを送風しなければなりません。特に、クラス100以下の非常にクリーン度の高いルームの場合には、グレーチングを用いた全面層流式(ダウンフロー方式)として、ルーム全体を均一に換気する方式が必要となります。ただし、クラス100以下のルームの場合には、換気回数よりも面風速を重視する傾向が強くなります。
換気回数の目安(クリーン度維持)
下記はあくまで参考値です。規格等に基づくデータではありません。
クリーンルームのクラス | 一般的数値 | 平均気流速度 |
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クラス100,000 | 20~ 30回/h | 0.005-0.041m/sec |
クラス10,000 | 30~ 70回/h | 0.051-0.076m/sec |
クラス1,000 | 100~ 200回/h | 0.127-0.203m/sec |
クラス100 | 200~ 600回/h | 0.203-0.408m/sec |
環境管理基準値
(1)建築物衛生法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)
建築物衛生法の第4条に、建築物環境衛生管理基準値が定められている。この基準では、興業場・百貨店・集会場・店舗・事務所・学校・旅館で3000m2以上(学校では8000m2以上)の規模の建物に適用され、中央管理方式の空調設備を有する場合の居室環境基準は表-1に適合することが必要とされている。平成15年7月より、従来の6項目にホルムアルデヒドが追加された。
汚染物質 | 基準値 |
---|---|
(1)浮遊粉じんの量 | 空気1m3につき0.15mg以下 |
(2)一酸化炭素(CO)の含有率 | 10ppm以下 |
(3)炭酸ガス(CO2)の含有率 | 1000ppm以下 |
(4)温度 |
①17℃以上、28℃以下 ②居室における温度を外気の温度差より低くする場合には、その差を著しくしないこと |
(5)相対湿度 | 40%以上、70%以下 |
(6)気流 | 0.5m/s以下 |
(7)ホルムアルデヒドの量 | 空気1m3につき0.1mg以下 |
(2)労働安全衛生法
同様に労働安全衛生法に基づく事務所衛生基準規則として、中央管理室空気調和設備の場合の基準がある。この基準規則では、単一の事業所として使用される事務所の環境管理・清潔・休養等について定めたものであり、 表-2はその給気・気流・温度等について定められた基準である。
汚染物質 | 基準値 | |
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(1)給気の条件 | 浮遊粉じん | 0.15mg/m3以下 |
炭酸ガス | 1000ppm以下(室内5000ppm以下) | |
一酸化炭素 | 10ppm以下(室内50ppm以下) | |
(2)気流 | 流入気流が特定の労働者に直接、継続して及ばない事室内気流0.5m/s以下 | |
(3)気温 | 17℃以上、28℃以下 | |
(4)湿度(相対) | 40%以上、70%以下 | |
(5)ホルムアルデヒドの量 | 空気1m3につき0.1mg以下 |
(3)建築基準法
建築基準法では、中央管理方式の空気調和設備を有する建築物の居室について、環境基準が定められている。 (建築基準法施行令第129条の2の3の3)が、数値はビル管理法によるものと同一である。
(4)換気量に関する各種規制
建物用途 | 換気量 | 条件 | 法規 |
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作業室 | 30m3/(h・人) | 1人当りの気積が床上4m以上で、10m3以内または窓面積が床面積の1/20以上のこと | 労働安全衛生 規則 |
無窓工場 | 35m3/(h・人)または 15m3/(m2・h)床面積 |
- | 無窓工場に 関する取扱 |
室内駐車場 | 換気回数が10回/h以上 | 窓の大きさが床面積の1/10以内のとき | 駐車場法 施行令 |
駐車場 | 外気25m3/(m2・h)以上 | 駐車面積が500m2以上で窓の大きさが床面積の1/10以内のとき | 東京都 安全建築条例 |
劇場 映画館 演芸場 観覧場 公会堂 集会場 |
外気75m3/(m2・h)客席面積 空気調和設備があるときは、 全風量75m3/(m2・h) 外気量25m3/(m2・h) |
客席床面積が400m2以上または地下興業場(第1種)注 地下で150~400m2(第1種、第2種のいずれか) 地上で50m2以下(第1種、第2種、第3種のいずれか) |
東京都 安全建築条例 |
地上建築物 |
30m3/(m2・h)床面積 空気調和設備があるときは、 外気量10m3/(m2・h) |
床面積が1000m2以上の階(第1種) 1000m2以下の階(第1種、第2種のいずれか) |
東京都 安全建築条例 |
<出典>「図解Q&A 空調調和設備」井上書院(1994)
注
表中第1種、第2種、第3種はいずれも機械換気の種別を示す。
機械換気:機械により強制的に換気することで次のように分類される。
①第1種機械換気:給気、排気を送風機で換気すること
②第2種機械換気:給気は送風機で排気は自然排気口で換気すること
③第3種機械換気:給気は自然排気口で、排気は送風機で換気すること
<法の出典>「ビル設備管理用語集」東京ビルメンテナンス協会建築物施設保全部会議
照明等空調冷房負荷
(1)室内器具からの発生熱量
事務機器や工作機械等の電動機からの発生熱量はすべて冷房の熱負荷となる。
発生熱量は電動機出力[kW]を電動機効率(ηm)で除した値とみなす。
発生熱量 = (機器容量[kW]) ÷ (ηm)
発生顕熱 | 発生潜熱 | ||||
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[Kcal/h] | [kJ/h] | [Kcal/h] | [kJ/h] | ||
電灯・電熱(kW当り) | 860 | 3,595 | - | - | |
蛍光灯(出力kW当り) | 1,000 | 4,185 | - | - | |
電動機 | 0.1~0.37kW(kW当り) | 1,440 | 6,028 | - | - |
0.37~2.2Kw(kW当り) | 1,250 | 5,235 | - | - | |
2.2~15Kw(kW当り) | 1,000 | 4,186 | - | - | |
家庭用ガスオーブン | 2,000 | 8,372 | 1,000 | 4,186 |
<出典>「建築設備ポケットブック(改訂第3版)」井上字市、相模書房(1994)
(2)照明器具の冷房負荷
冷房負荷計算の場合の照明器具の発熱量の考え方としては、照明器具で消費される電力は時間遅れを生じながら最終的にはすべて熱に変わり、外部に排出しない限りそのほとんどは冷房負荷となるとする。照明器具への入力電力がわかれば、その値が照明器具の全発熱量[W]ということになる。表-2に代表的なランプ電力と入力電力(総合電力)を示す。
定格ランプ 電力 [W] |
総合(入力) 電力 [W] |
|
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白熱灯(95W) | 95 | 95 |
ラビットスタート蛍光灯(36W) | 36 | 40 |
ラビットスタート蛍光灯(36W 3波長型) | 36 | 40 |
Hf蛍光灯(32型) | 32 | 35 |
Hf蛍光灯(32型 高出力使用) | 45 | 49 |