ヒートポンプとは
ヒートポンプとは、名前の通り「熱(ヒート)のポンプ」です。
水は高い場所から低い場所へは自然に流れていきますが、低い場所から高い場所へ移動させるためにはポンプを使って汲み上げなければなりません。
熱も同様で高温側から低温側へは自然に移動していきますが、逆方向へは移動することはありません。
低温側から高温側へ熱を汲み上げる技術が「ヒートポンプ」です。
身近にあるヒートポンプ技術
実は、ヒートポンプは私たちの生活の中においても身近なエコ技術です。
代表的な例が「エアコン(空調)」です。暖房時は、室外の熱を室内に汲み上げて暖めます。逆に冷房時は、室内の熱を室外に汲み上げることで室内を冷やしています。
もう一つの例として「エコキュート※(給湯)」があります。外気から熱を汲み上げて、水に熱を移動させることでお湯を作ります。
その他にも、冷蔵・冷凍庫、洗濯機の乾燥機能など、ヒートポンプの技術は様々な用途で利用されています。
また、ヒートポンプは効率が良く、動力として私用した電力の 3~7 倍のエネルギーを得ることができるため、工場やオフィスビル、病院、ホテルなどの大規模施設でも利用されています。
- 「エコキュート」の名称は電力会社・給湯器メーカーが、家庭用自然冷媒ヒートポンプ給湯器を総称する名称として取り扱っています。
ヒートポンプの仕組み
ヒートポンプは、2つの熱の性質を利用しています。
- 熱は熱いところから冷たいところへ移動する
- 冷媒は圧縮すると温度が上昇、膨張すると低下する
圧縮による温度上昇と膨張による温度低下を繰り返しながら循環することで、熱を移動させています。
ヒートポンプの構成
- 圧縮機
冷媒(気体)が圧縮されることで
高温・高圧の冷媒(気体)になる- 凝縮器
冷媒が気体から液体に変化、熱を放出(凝縮熱)
→ 流体は放熱により加熱される- 膨張弁
冷媒(液体)が膨張することで、
低温・低圧の冷媒(気液二相)になる- 蒸発器
冷媒が液体から気体に変化、熱を吸収(蒸発熱)
→ 流体は吸熱により冷却される
冷媒の温度が室外よりも低くなった場合には熱を吸収、冷媒の温度が上昇した場合には熱を放出することで暖房や給湯に利用しています。冷房時には室内と室外が逆になり、室内の熱が吸収されることにより温度が下がります。
オリオン機械とヒートポンプ
オリオン機械の製品に「チラー(冷却水循環装置)」があります。実はヒートポンプもチラーと基本は同じです。
ヒートポンプによる暖房時の構造を水冷チラーに置き換えてみましょう。
それぞれの❶を見ると、暖房時の「室外」は水冷チラーの「冷水」に置き換えることができます。冷水は蒸発器との熱交換により冷やされていますが、これは「蒸発器が冷水から熱を吸収している」と言えます。
➋も同様に暖房時の「室内」を水冷チラーの「冷却水」に置き換えることができます。冷却水は凝縮器の冷却に用いられていますが、「凝縮器が冷却水へ熱を放出している」とも言えます。
こうしたことから、オリオン機械では更なる省エネ製品開発に向けて、ヒートポンプ技術の研究・開発を開始。2024年7月に「排熱回収ヒートポンプ(水熱源)」を発売しました。
ヒートポンプの熱源
ヒートポンプにはエネルギーの元となる「熱源」が必要です。熱源には、外気や工場の排ガス・排水、河川水、地中熱などがありますが、大きく分けると「空気」と「水」に分類することができます。
空気熱源ヒートポンプ
大気を利用する場合には、場所の制限がなく、どこでも利用することができます。ただし、熱量や温度の観点でより良い熱源を得るためには効率的な排熱回収が必要です。
水熱源ヒートポンプに比べると、大容量の加熱には向いていませんが「熱源の制約がない」「設置場所の自由度が大きい」といった特長があります。
水熱源ヒートポンプ
一般的には空気熱源ヒートポンプよりも効率の良い運転が可能です。ただし。熱源となる安定した排水が必要になります。
空気熱源ヒートポンプと比べると、大容量の加熱に向いており、大規模な排水がある場合には、排熱回収で大幅な省エネが期待できます。