搾乳ロボット牧場で牧場を未来に
北海道大樹町の酪農法人カネソファームは、2021年3月に国内2例目となる回転型搾乳ロボットを導入し、牧場経営は新たなステージに移行しました。搾乳ロボットが稼働した1週間後、専務の金曽秀則さんは、帯広市で保育士をしていた妻の純奈さんと入籍。「大型投資と結婚が重なり、大きな節目でしたね」と笑顔を見せています。金曽さんは、人口減など農村を取り巻く環境の厳しさを背景に、「全国的にも注目される十勝の農業者こそ、明るい未来を語らないといけない。両親が築き上げた牧場を将来につなげて、これからも酪農を続けるために(搾乳ロボットは)必要な投資」と決断し、導入に踏み切りました。かつて「女性の仕事」だった搾乳の負担を大きく減らせたうえ、牛1頭ごとの詳細データが取得でき、きめ細かな対応ができるようになったといいます。小学5年生の時、地域農業リーダーとして嘱望されていた父・邦彦さんが38歳の若さで急逝。現社長の母・千春さんが牧場を維持し、飼育頭数は1100頭(搾乳牛600頭)、年間生乳出荷量は5500㌧というメガファームに成長しました。現在は、金曽さんご夫婦と千春さん、スタッフや外国人技能実習生を合わせ、わずか10人で管理。「牧場が近代化しても、家族で牛と触れ合いながら作業するのは楽しい。健康な牛を育て、安全な牛乳を供給することを第一に、家族経営で休めないという酪農のイメージを一新し、持続可能な経営をしていきたい」と未来を見据えています。
ニッポンフードシフト始まっています
「食」は人を育み、生きる力を与え、そして社会を動かす原動力となるもの。すべての人は「食」と無関係で生きることはできません。日本社会が大きな変化に直面している今、これからの 「食」 はどうあるべきか。私たちが真摯に向き合わなければならないテーマは少なくありません。食料自給率、環境との調和、新しい生活様式、健康への配慮、食育、サプライチェーンの状況、昨今では輸入原材料の高騰など、日本の 「食」 の課題は山積。 「食」 について考えることは、これからの社会を考えること、人の生き方を考えること。変えるべきは変え、守るべきは守り、新しい挑戦を応援しながら、今こその時代にふさわしい日本の 「食」 のあり方を考える機会ではないでしょうか。消費者、生産者、食品関連事業者、 日本の「食」を支えるあらゆる人々と行政が一体となって、考え、議論し、行動する国民運動、「ニッポン フード シフト」が進行中です。
企画制作 十勝毎日新聞社