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DairyProQ導入の日昭牧場様が酪農スピードNEWsで紹介されました

   

日昭牧場で全自動ロータリーロボットが稼働

北海道を代表するメガファーム、株式会社日昭牧場(十勝管内大樹町、鈴木雅輝代表取締役、2021年度出荷乳量7374㌧)は今春から、ドイツの大手酪農機械メーカ、GEAが開発した世界初の全自動ロータリーパーラー型搾乳ロボット「DairyProQ(デーリィプロQ)」を稼働させた。道内では4例目、全国では5例目となる。今年度は生産抑制が求められており増頭は難しいが、労働負担の軽減や人手不足への対応を進め、将来的な規模拡大を目指す。

 デーリィプロQは、ストールの一つひとつにロボットアームユニットが取り付けられたロータリー型搾乳ロボット。28~80㌽の11サイズがあり、1時間当たり120~400頭を搾乳できる。乳頭マッサージから乳頭清拭、前搾り、搾乳、ポストディップまでの全作業をティートカップのライナー内で完全自動処理する。

 日昭牧場が導入したのは40㌽の機種。あわせて搾乳舎も新設した。総事業費は約7億円で、このうち搾乳舎は全額自己資金(借り入れ)で賄い、 デーリィプロQ は農水省の楽酪GO事業を活用した。

 日昭牧場が デーリィプロQ を導入したのは1996年の牧場設立時に導入したパラレルパーラー(16頭W)が更新時期を迎えていたことに加え、年々深刻化する人手不足に対応するには搾乳ロボットが有効と判断したため。

 鈴木代表は「コロナ媧前にドイツで視察した デーリィプロQ の導入牧場は、オペレーターが2人だけだった。牛舎は古いものを使っていて、これならうちでも既存の牛舎を活用してコストを抑えつつ、パーラー更新と省力化を実現できると判断した」と話す。「一般的な搾乳ロボットの場合、故障すると搾乳全体が止まってしまうが、 デーリィプロQ なら、故障したストールだけ閉鎖すればいいから搾乳できなくなる心配もない。( デーリィプロQ を日本で輸入・販売するオリオン機械の)サポートもしっかりしている」という。

 日昭牧場で デーリィプロQ が本格稼働したのは4月15日から。現在は総搾乳牛頭数560頭のうち480頭をこの機械で搾乳している。1頭当たり10~12分で1周して搾乳が終わるそうだ(残りの80頭は治療中の牛やフレッシュ牛などで、既存のパーラーで搾乳している)。

 搾乳回数は、パーラーの使用時と同様、午前3時からと午後3時からの1日2回。1回当たりの搾乳時間は4時間から4時間半(搾乳終了後の清掃作業を含む)で、これまでより1時間から1時間半も短くなった。鈴木代表は「1回の搾乳に必要な人員はオペレーター1人、牛追い1人、清掃1人の計3人のみ。時短になっただけでなく、乳頭にティートカップを取り付ける作業も無くなり、ずいぶん楽になった。今後は休日を増やすなど、より働きやすい職場づくりに努めたい」と話す。

 日昭牧場は当初、 デーリィプロQ の導入とあわせ、牛舎も年内に増築する予定だった。しかし生乳需給の悪化を受け、生産抑制(前年度計画比100%)が求められたため見送った。日昭牧場は昨年度の生乳生産が計画を上回ったことから、今年度は実質減産になるという。

 鈴木代表は「生産コストも軒並み高騰しており厳しいが、仕方がない。酪農情勢が好転したら牛舎を増築し、搾乳牛頭数を700頭に引き上げたい。草地を確保できればもう100頭増やしたいと考えているし、そうなれば出荷乳量は年間1万㌧の大台が視野に入る」と意気込む。そのためにも「今年は我慢するしかない」と、一刻も早い需給改善を願っている。

 

制作:酪農スピードNEWs