牛は一般的に寒さに強いとされていますが、子牛の場合はそうではありません。子牛の最適温度は15~25℃といわれており、このトピックでは寒冷環境が子牛に与える影響について紹介していきます。
子牛が成牛と比べて寒さに弱いと言われている理由は、主に以下の3点です。ヒーターやカーフジャケットを利用して、寒冷対策を行いましょう。
根釧農業試験場の寒冷環境下で子牛ので休息場所の保温対策試験の結果です。三方を合板で囲み、上部をシートで覆い、家畜用ヒータを設置した試験区と、保温対策を行っていない対象区とで子牛の増体量を比較しました。
保温対策を行った区間の休息場所の温度は対象区と比べて5℃程度高まりました。
また、保温対策を行っていない対象区と比較すると体重増加量が高まりました(表1)。また、寒冷期の哺乳量を増加させる試験(試験区)も合わせており、この時期でのエネルギーの増給が大切なことも示しています。
宮崎県畜試では地域のNOSAI 診療所の生後6ヶ月齢までの子牛疾病データ(肉用子牛が大半)とTHI(温湿度指数)の関係を解析しました。
注)温湿度指数(THI)= 0.8 ×温度+ ( 湿度/100)×( 温度- 14.4) + 46.4
① 冬期において、THI が60 を下回ると1日あたりの疾病発生件数が増加する傾向が見らた(図1)。
② 生後3ヶ月齢までの子牛は、寒冷感作の影響によりTHI が55 以下の場合は日増体量(DG) が低下傾向にあった(図2)。
北海道大学獣医学部予防治療学修士課程修了後、長野県畜産試験場酪農部で18年間「乳牛の飼養管理に関する試験研究」に従事。その後、長野県畜産試験場場長として試験研究を総括。平成26年よりオリオン機械㈱の顧問となる