教えて!吉田先生

教えて!吉田先生「糖蜜飼料の効果と使い方」

糖蜜はサトウキビやテンサイを主原料にして、粗糖を精製するときに出る液状の副産物です。そのままの液状飼料と、糖蜜吸着飼料と呼ばれる固形飼料があります。

①糖蜜給与のメリット

  • 嗜好性が高く、夏場や周産期など食欲低下時に採食量の増加がねらえます。糖蜜を飼料に添加した時の採食量の増加については第1図の通りで効果が大きです。
  • 牛のルーメン内微生物に対して即効性のエネルギー源として、微生物の活性を促し、微生物体タンパクの合成量を増加させる効果があります。
  • その他、液状糖蜜はペレット飼料の成型効果、粉体飼料の塵埃防止効果などがあります。

 

②適正な給与量の目安

  • 搾乳牛用の配合飼料にはすでに2~5%の糖蜜が含まれているので、使用する糖蜜の量は原液量で1日1頭当たり400~500g以内が良いようです。
  • ビタミン・ミネラルの補給を主体として成型された固形飼料の場合は、1日の舐める量から糖蜜摂取量を勘案して、適宜収納したり給飼したりできるので、牛の状態と泌乳ステージに合わせて調整すればよいと思います。

 

③糖蜜使用上の注意

  • 糖蜜は発酵速度が早いため、タンパク分解速度の早い飼料と同調して菌体タンパク合成を進め、ルーメン内のアンモニア濃度の上昇を防ぐ反面、糖蜜を多く給与し過ぎるとルーメン内pHが低下し、アシドーシスになりやすくなります。
  • 4~5か月齢以下の育成牛はルーメンが未発達で、糖蜜に含まれるショ糖の消化性が低いため、下痢を発生しやすいので注意が必要です。
  • 糖蜜には糖分のほかにカリウムが多く含まれているため、DCAD(イオンバランス)を+イオン方向へ導いてしまいます。従って、分娩後の低カルシウム(Ca)血症の危険性を避けるためには、分娩前3週間(クローズアップ期)の乾乳牛への給与は避けた方が良いとされています。

以上の糖蜜の特徴と使用上の注意は、主として液状糖蜜及び糖蜜濃度の高い吸着飼料を使用する場合です。

  

参考資料

第1図:「廃糖蜜の飼料成分と泌乳牛に対する嗜好性」九州農業研究(九農研),神谷 充ら,2004年5月,no.66

    

回答者:吉田 宮雄(オリオン機械㈱顧問)

プロフィール

北海道大学獣医学部予防治療学修士課程修了後、長野県畜産試験場酪農部で18年間「乳牛の飼養管理に関する試験研究」に従事。その後、長野県畜産試験場場長として試験研究を総括。平成26年よりオリオン機械㈱の顧問となる。