ミルキングパーラーには、「ロータリーパーラー」「パラレルパーラー」「ヘリングボーンパーラー」「タンデムパーラー」の4種類があります。それぞれのパーラーには特長があり、経営形態に合ったパーラーを選ぶことが重要です。
一定の速度で多くの牛を搾乳することができ、搾乳時間の削減が可能です。また、少ない搾乳者かつ定位置で作業ができるので人件費と作業コストを抑えることに貢献します。乳房の位置が搾乳者に近いので、搾乳作業も簡単に行えます。弊社では1機種のロータリーパーラーを取り扱っています。
搾乳者から見て、牛を縦に並ばせて搾乳ができるので、一度に多くの牛を搾乳がすることができます。搾乳者から牛の乳房の位置も近く、ディッピングや搾乳ユニットの装着を簡単に行えます。退出ゲートは一斉退出方式です。弊社では4機種のパラレルパーラーを取り扱っています。
搾乳者から見て、牛を斜めに並ばせて搾乳を行う方式です。牛に対して近い位置で作業ができるので、1頭1頭をよく観察することができます。牛同士の距離やストールとの間隔もゆったりとしているので、牛のストレスを最小限に抑えて搾乳をすることができます。弊社では1機種のヘリンボーンパーラーを取り扱っています。
搾乳者から見て牛を横に並ばせて搾乳を行うパーラーです。牛は個別にパーラーに入ることができるので、序列に関係なく搾乳できます。また、牛を横から見ることができるので最も個体の観察がしやすく、牛との距離も近いので作業がしやすいパーラーです。弊社では1機種のタンデムパーラーを取り扱っています。
乳房観察 | 牛体観察 | 搾乳安全性 | 搾乳動線 | 拡張性 | ストールアクセス | 設置可能なポイント数 | 推奨規模 | シングル対応 | 搾乳頭数(目安) | |
ロータリー | △ | △ | ◎ | ◎ | - | 個別 | 16P~60P | 32P~60P | × | 250頭~ |
パラレル | △ | △ | ◎ | ◎ | 〇 | グループ | 4W~25W | 6W~25W | 〇 | 100頭~800頭 |
ヘリングボーン | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | △ | グループ | 4W~20W | 4W~12W | 〇 | 50~200頭 |
タンデム | ◎ | ◎ | △ | △ | △ | 個別 | 2W~6W | 3W~5W | 〇 | 50頭~120頭 |
ミルキングパーラーを選定する場合、搾乳作業者の人数、搾乳頭数、搾乳時間など複数の条件を考慮し、最適なシステムや規模を決定します。
ロータリーパーラーの搾乳作業は、各エリアに担当者を配置し、工程毎に作業を分担します。規模によっても必要な人数は異なりますが、搾乳室内に3~5人を配置するのが一般的です。回転スピードにより搾乳効率が大きく変動するため、効率を重視するためには、回転スピードを上昇させ搾乳作業者を増やす必要があります。
1人の作業者が対応できる範囲は4W~5Wとされています。それ以上の範囲を対応する場合は、作業効率が下がるため注意が必要です。また、ヘリングボーンパーラーやタンデムパーラーは、パラレルパーラーと比較して、1頭当たりのストール幅が広いため、搾乳動線が長くなります。
将来の増頭計画を含め、計画中の施設で搾乳する最大頭数で検討します。搾乳作業の人数からおおよその搾乳施設の規模を決定し、1時間当たりの搾乳頭数を求めます。最大頭数を1時間当たりの搾乳頭数で割ることで、搾乳時間がどの程度必要かが算出できます。搾乳時間が長すぎる場合は、作業者の人数や搾乳施設の規模を見直し、搾乳時間が短すぎる場合は、過剰な設備投資になる可能性もあるため規模の縮小などの検討が必要です。
また、搾乳牛を待機場で待機させる時間は1時間以内が推奨されるため、1時間当たりの搾乳頭数で算出した頭数が待機場に収まるよう待機場の大きさを決定しましょう。
【1時間当たりの搾乳頭数】
3W | 6W | 8W | 10W | 12W | 16W 32P | 20W 40P | 25W 50P | 30W 60P | |
4.5回転 | 27 | 54 | 72 | 90 | 108 | 144 | 180 | 225 | 270 |
5回転 | 30 | 60 | 80 | 100 | 120 | 160 | 200 | 250 | 300 |
5.5回転 | 33 | 66 | 88 | 110 | 132 | 176 | 220 | 275 | 330 |
6回転 | 36 | 72 | 96 | 120 | 144 | 192 | 240 | 300 | 360 |
例 12Wパラレルパーラー 4.5回転/時 搾乳頭数240頭の場合
24×4.5=108頭 240÷108≒2.25時間
1回当たりの搾乳時間はおおよそ2時間15分です。
※搾乳準備や群の入替は別途考慮が必要です。