坂本牧場(熊本県大津町)は2020年5月に搾乳ロボットDairyRobot R9500と発情発見装置カウスカウトを導入されました。今回は、ご主人の坂本昌明様にDairyRobot R9500 とカウスカウトを導入して毎日の作業がどのように変化したかお話を伺いました。
導入機器 | 自動搾乳ロボット「DairyRobot R9500」 繁殖管理メッセンジャー「カウスカウト」 自動エサ寄せ機「FRone」 |
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飼養頭数 | 105頭(うち経産牛頭数85頭、搾乳頭数74頭) |
きっかけは、3つあります。
①既存の牛舎とパーラーが30年経って、更新時期になったこと
②30年間で周囲に住宅地が広がり、増設が難しくなったこと
③近隣農家が搾乳ロボットを導入し始めて、乳量を伸ばしてきたこと
今の頭数で収益をあげるための選択肢として搾乳ロボットを検討していました。
購入を検討していた当時DairyRobot R9500は、国内に導入事例がなかったので海外の動画を見て情報収集しました。DairyRobot R9500を導入した理由は、①牛が入りやすいボックスだと思ったこと、そして②搾乳スピードが速いと感じたことです。それに加え、熊本営業所の所長に相談して「一緒に頑張りましょう」と言われ、その言葉で導入を決断しました。
搾乳ロボットに合う牛や、脚が悪くない牛を集めて群分けをしました。また、今までの給飼はTMR(完全混合飼料)一本でやってきたので、搾乳ロボットで与える配合飼料に慣らすため、1か月前から配合飼料をトップドレスとして与え、牛を慣らしていきました。
まず、1頭のボックス滞在時間が平均5分程度であるところに驚きました。洗浄・マッサージ・前搾り・搾乳・ディッピングという流れが、一回の装着で終わり、搾乳時間、装着もとても速いです。
次に故障トラブルがほとんどなく、パソコン操作も含めて簡単でわかりやすいことです。また、同時に繁殖管理メッセンジャー「カウスカウト」を導入したことで、発情発見率が良くなり、人間が目で観る以上に牛を観察できるようになったところです。
最後に、パーラーでの搾乳時間が短くなった分、とにかく肉体的にはものすごく楽になったと感じます。
一つ目に、発情発見率が良くなったことです。前日や半日前の発情等の警告がスマートフォンにくるので、すぐにカウスカウトのグラフを確認できます。それにより良い発情等の判断ができるので、発情発見率はものすごく良くなったと思います。
二つ目に、人の目で観る以上に個体の観察ができるようになったことです。従来、畑仕事等で牧場を離れたときは、牛の観察が十分にできませんでした。しかし、カウスカウトを使うことによって、何時からエサを食べていないとか、何時頃から発情がきたとか、どれくらい活動量があがっているとか常にデータを見ることができるのは、大きなメリットだと思います。
三つ目に、牛が食べているのか食べていないのかというのが早い時期にわかるので、それに対しての対応も早くなり、その分病気は減っていると思います。
新築で搾乳ロボットを検討している方と、既存牛舎の改造で搾乳ロボットを検討している方がいると思います。既存牛舎での導入を検討している場合、例えば一方通行で入口まで誘導できるような、朝晩の牛の追い込みを一人でできるようにレイアウトすることが大切だと思います。既存牛舎では牛が自発的に入りやすく出やすいレイアウトになるよう、既存牛舎の構造を考えつつ、牛の流れを想像しながら検討することが重要だと思います。
今後の目標は、90頭の経産牛で日量3tを目指すことです。また、九州は酷暑で分娩が秋以降に固まりがちなので、受胎率の改善と、蹄病や足の悪い牛を減らしたいです。