機種選定時の注意事項
対象空間・空間容積
必要以上に余裕を持った空間サイズを指定されますと、精密空調機への負担が大きくなり予想以上の能力が必要になる場合があります。また、温湿度やクリーン度のバラツキの要因にもなりますので、必要最低限の空間サイズをご選定されることをお勧めします。対象空間内の装置などが、かなりの容積を占める場合はその分を考慮することもできます。
また、密閉度が高くない場合でも精密空調は可能ですが、風量損失が発生するため、別途ご相談ください。
温湿度の設定
目標設定温湿度条件に対して、その制御範囲(=空調精度)をきびしく設定しますと、 対象空間内外の外乱の影響や空調機の制御方法や安定性なども、それ以上に考慮しなければならず、コストアップの要因になります。必要最低限の温湿度条件を設定されることをお勧めします。
また、対象空間内の温湿度条件は、周囲の導入条件に大きく影響を受けますので、周囲条件にも十分な確認が必要となります。
周囲条件
対象空間の周囲の温湿度条件は、お客様の管理値と実際値が異なる場合があります。
工場の空調能力の余裕や断熱対策が十分ではなかったり、当初よりラインの増強や増産があった場合は、 冷房能力・暖房能力不足から、室内温度の予想以上の上昇や冷え込み、室内温湿度のバラツキの原因になります。冬期の室内の冷え込みは、空調機が正常に運転できない原因になることもあります。年間を通じての最大値-最小値をご確認ください。
周囲の温湿度条件は、対象空間内の設置条件に大きく影響を与えますので、十分な確認が必要となります。
クリーン度と空調/空調方法の選び方(空冷式/水冷式)
精密空調機は、その冷凍方式によって空冷式と水冷式の大きく2つの方式に分けられます。空冷式は、一般的には導入設置が非常に簡単で、手軽に高精度な空調空間が実現します。水冷式は、より大きな空間で大きな冷凍能力を必要とする場合に利用されます。また、外乱の影響が少なくなるため、要求精度の高い空間の空調にも適しています。排気・排熱のないクリーンな空調を実現します。
空冷式
冷凍サイクルにおける熱交換を吸気(空気)による冷却で行います。放熱コイルに併設されたファンモータが排熱を行います。熱交換用の冷却水配管が不要となるため設置を比較的容易に行うことが可能です。(※加湿機搭載モデルは、加湿用水配管と圧縮空気配管が必要です。)
水冷式
冷凍サイクルにおける熱交換を冷却水によって行います。外気による冷却と比較し熱交換率が高く、安定性が高いため小風量(1m3/min)~大風量(120m3/min)までの対応が可能です。また、ファンモータによる排熱がなくなりますので、発塵の心配がありません。よりクリーン度を求められる環境に向いてます。
注意事項
オリオンPAPシリーズはヒートポンプバランス制御方式ですので、水冷式の場合の加熱運転時には、冷却水から逆に熱を吸熱し、冷却水を冷やしてしまうことになります。冷却水用に専用チラーを設置し1対1となる運転の場合は注意が必要です。また、クーリングタワーの冷却水を用いる場合には、特に冬場等に水温が15℃以下とならないよう、例えば他の装置を冷却して出てきた2次冷却水を使用する等の工夫が必要となります。