チラー選定フロー
チラー選定の重要性
お客様が安全にチラーをお使いいただくために、チラーの使用条件や設置場所、配管の距離などにも注意が必要です。安易に選定を行うと冷却能力不足などが発生し、お客様装置やチラーにトラブルが発生してしまいます。
チラーの使い方を選ぶ
オリオンのチラーには水槽内蔵タイプと水槽なしタイプがあります。
- 水槽無しは水槽内の被冷却液を循環ポンプで組み上げ、チラー(冷却水循環装置)を通過するときに被冷却液を冷やし水槽に戻します。
- 水槽内蔵タイプでは、水槽とポンプがチラーにワンパッケージ化されているため、チラー単体で冷却された被冷却液を圧送ポンプで送り、お客様の機械などの装置(負荷)を冷却し、再び水槽に戻します。
お客様の設備に水槽がある場合は水槽無しを、装置に直接冷水を供給する場合は水槽内蔵を選定します。
チラーで冷やす液体を選ぶ
チラー循環水の温度を決める
チラーの冷却対象となる装置などへ送りたい被冷却水の温度、もしくは水槽内の水温設定温度を決定します。
チラーの冷却能力を決める
必要冷却能力の求め方(ソフト)
必要冷却能力の求め方(計算式)
計算例(従来単位)
上記のとおり必要冷却能力を算出、RKS1502J-MVを選定(50Hz地域での使用、ソフトによる安全率113%)しました。
次項において、ポンプ能力が不足しないか確認します。
配管抵抗を確認する
配管方法によって水の循環量が変化し、抵抗(揚程)が大きくなると水の循環量が減少し冷却能力が減少します。また安全装置が作動する場合がありますので、規定の抵抗(揚程)以下になるよう配管の設置をお願いします。
図(1)抵抗算出サンプル(揚程9m、全長25m、配管径1/2B、エルボ×4、バルブ×4)を計算例として、上記で選定したRKS1502J-MV、循環量20L/minの時にポンプ能力が不足しないかを確認します。
配管抵抗(全揚程)の求め方
下図(2)の計算式で配管抵抗(全揚程)を求めます。
図(1)抵抗算出サンプルよりha(実揚程)は9m、hv(速度水頭差)は通常の最大値0.8mとし、次にhf(管内損失水頭)を確認します。
hf(管内損失水頭)の求め方
右図(3)硬質塩化ビニール管の管内損失水頭 を用いて損失水頭を求めます。
水の循環量20L/min、Φ16、パイプ相当長さ25mの場合における管内損失水頭を求めます。
尚、表は塩化ビニール管用、1/2Bが16mm、鋼管の場合は15Aを選定ください。
- 上軸Φ16の線と下軸20L/min(0.02m3/min)を結ぶとおよそ左軸30m/100mとなり、1m当たりに換算すると0.3mとなります。
- パイプの長さは25mなため、管内損失水頭は 25 × 0.3 = 7.5mとなります。
ht(局部損失)の求め方
右図(5)バルブおよび継手類の相当長より局部損失水頭を求めていきます。
内径15mmのエルボ×4とバルブ×4、循環量20L/minのときの局部損失水頭を求めます。
- 右図(6)の左軸(①)より標準エルボを選択、右軸(③)より内径15mmを選択。両ポイント線で結ぶと、その交点(直管パイプ相当長さ)約0.5mになります。
- hf(管内損失水頭)で1mあたりの損失水頭は0.3mとなっているため、標準エルボの局部抵抗は0.5×0.3=0.15mとなります。
- 従って標準エルボ×4の局部抵抗は 0.15m × 4 = 0.6mとなります。
- 右図(7)の左軸(①)よりグローブ・バルブを選択、右軸(③)より内径15mmを選択。両ポイント線で結ぶと、その交点(直管パイプ相当長さ)約5mになります。
- hf(管内損失水頭)で1mあたりの損失水頭は0.3mとなっているため、グローブ・バルブの局部抵抗は5×0.3=1.5mとなります。
- 従ってグローブ・バルブ×4の局部抵抗は 1.5m × 4 = 6.0mとなります。
配管抵抗からポンプ能力を確認する
上記の確認から、配管抵抗は下記であることがわかりました。
Hm(23.9m) = ha(9m) + hv(0.8m) + hf(7.5m) + ht(0.6m+6.0m) < HL
RKS1502J-MVのポンプ能力を確認します。
限界揚程は60m、循環量20L/min時の圧力は0.5MPa以上(揚程50m以上)なため、全揚程(23.9m)に冷却器損失水頭(5m未満)を加味しても、図(1)抵抗算出サンプルの条件であれば能力は満足することが確認出来ます。
但し装置等の負荷側における損失水頭を加味したうえで、装置の決定をしてください。
選定にお困りごとございましたら、下記よりお問い合わせください。