搾乳関連機器-点検のポイント

11.細菌から見た乳牛管理

搾乳機器、乳牛の泌乳生理、体細胞、細菌、洗浄、冷却機器を皆さんと一緒に学んで来ましたが今回が最終となります。収益改善の最終目標は乳房炎防除と乳質改善であり、今回は『細菌』から見た乳牛の管理を皆さんと考えたいと思います。

一日の大半を牛舎内で過ごす乳牛がどんなストレスを感じるか各地の事例からまとめてみました。

飼養管理面でのストレス
ストレスの要因 乳牛がとる行動 乳牛の状態
カウシェードからフリーストールに変わった時 環境の悪い場所に寝る
  • 牛体が汚れる
  • (乳房の汚れ)
  • (乳頭の汚れ)
牛床、通路の敷き料が変わった時
導入牛があった時
換気が悪い時
蝿(サシ蝿)、蚊、虻が多い 牛が一カ所に固まって寝る
(通路で寝る事が多い)

乳房・乳頭の汚れは乳頭清拭に余分な時間が掛かり、ユニット装着時間・作業手順等のバラツキが生じ搾乳作業の中で大きな妨げになります。

乳房・乳頭が汚れている場合はストレスの要因を見つけ牛舎内環境を良くして下さい。また乳房を汚れにくくして、汚れが落ち易くするためにも『毛刈り』『毛燃やし』も今見直されています。

暖かい時期に発生する蝿(サシ蝿)、蚊、虻が多いときは牛舎内、待機場、搾乳室で換気扇を使う事も乳牛のストレス解消には有効です。

細菌の移動と移動しやすい場所
細菌の移動 細菌が移動しやすい場所(作業)
牛床→乳頭 フリーストール牛床、フリーバーン牛床および通路
カウシェード牛床
搾乳作業→乳頭 搾乳者の手、洗浄用タオル、殺菌液容器
搾乳環境→乳頭 ライナースリップ、ユニット落下
搾乳器具→乳頭 洗浄の悪いミルカーユニットおよびクォーターミルカー、バケットミルカー、ディッピング容器
洗浄水→乳頭 細菌が多い地下水、灌漑用水

※細菌の多くは『搾乳作業』と『搾乳器具』で移動します

細菌を減らすための搾乳作業と飼養管理
区分 改善内容 改善目的
搾乳作業
  • 搾乳手袋を必ず装着する
  • 作業途中で搾乳手袋の洗浄殺菌をする
  • 搾乳器具の細菌を乳頭に移さない
  • 搾乳機器・器具で細菌を増殖させない
乳頭洗浄液はこまめに交換する
(常に殺菌効果のある状態で使用)
乳頭洗浄用タオルは1頭1布以上にする
搾乳機器の衛生管理を良くする
  • ライナーの交換頻度を守る
  • 牛乳に接する部品は1年以内で交換する
  • バケットミルカーの洗浄、保管を良くする
搾乳器具の衛生管理を良くする
  • ディップ容器の洗浄を搾乳後に行う
  • 乳頭ディップした溶液は他の牛に使わない
  • クォーターミルカーの洗浄、保管を良くする
地下水使用では定期的に保健所で細菌検査を行う
搾乳機器
  • ミルクラインのエアー漏れは早急に直す
  • ライナースリップを起こさない
  • ユニット落下を起こさない
空気中の細菌を牛乳に移さない
飼養管理 (カウシェード)
  • 牛床の掃除回数を増やす
  • カウトレーナーの導入
牛舎内の細菌を牛体・乳房・乳頭に移さない
(フリーストール・フリーバーン)
牛床、通路の管理を充分に行う

<細菌から見ると  糞・乳石=増殖の栄養源  水分=移動手段です>

※糞や水分があると細菌は増え続けます
※搾乳時の作業改善で細菌の移動は防げます
※管理改善で常に乾いた状態を保てば細菌は減少します

衛生管理に注意をしても細菌数(生菌数)が急に増える事はあります。皆さんの牧場で細菌数が増えた時は『乳業メーカー、酪農組合からのデータ』等で次の6項目を確認して下さい。

1. 細菌数はいつ頃から増えたか確認する
2. 体細胞数はいつ頃から増えたか確認する
3. ライナーの交換頻度(バケットミルカー含む)を確認する
4. 搾乳機器の洗浄確認をする
5. 搾乳器具の衛生管理の確認(洗浄バケツ、タオル、クォーターミルカー等)をする
6. 冷却機器の能力、洗浄の確認をする

また乳房炎が発生した場合は細菌調査を乳業メーカー、酪農組合に依頼し伝染性か環境性か確認して下さい。そして乳房炎の疑いがある時は必ずPLテスターで乳汁の検査を行って下さい。

伝染性乳房炎→黄色ブドウ球菌、無乳性連鎖球菌、その他

環境性細菌による乳房炎→大腸菌、連鎖球菌


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